縄跳びと罠

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 そして僕はマルミラと距離を置くようになった。  僕のせいではないとマルミラは言ったが、あいつが僕を狙うことはあいつが親衛隊に入る前から決めていたことで、親衛隊に入ったのは親衛隊員として僕らに近づければ、簡単に僕を狙いやすかったから、だった。  これが僕のせい以外のなんだと言うのだ。  甘えてはダメだ。  役割など求めるな。  もしかするとこれが憐であったかもしれないのだ。彼女が留置場に侵入したり、結果建物の破壊や人的被害などを起こしたりするようなことは、しないかもしれないが、しかしそれに類するような、犯罪や事件性のある行為に発展しないなんてことは、絶対に言い切れない。  たまたまあの時は魔女の手を借りられたからよかったものの、僕ひとりではどうすることもできなかった。僕は運に救われただけ。  誰かの傘下になったり、誰かと協力したり、誰かに与したり、誰かを慕ったり、それが相手を思いやる気持ちを下地にしたものであるならいい。でも、利己的で、自己を満足させるためだけに成された僕のそれは、決して信頼や仲間意識なんてものになることはなかった。
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