縄跳びと罠

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 不真面目。  おそらく色々な人間的な作業に対して、僕は割と無感動で、無関心だ。  それは僕の心が荒んでいるとか大事な何かが欠落しているのではなく──面倒くさがっている。  魔女だって言っていた。一応の体裁を守るために否定をしてはみたが、自分でだってわかっていたことだ。僕の生き様はあの魔女に、あの怠惰なる魔女に似ている。  僕は、誰が救われようが誰が壊れようがどうでもいいと思っている。  でも、それでも必死になって生きているのは、悪足掻きだ。自分が怠惰で怠慢だなんて事実を認めたくない自分がまだ心の中にいて、僕はあんな魔女みたいに俯瞰して達観して、世界を見下していたくなんかないと思っているのだ。  マルミラと怪盗との対決に水を差したのは、きっと僕が怠惰でありたくなかったから。僕もなにかしているという、生きている理由がほしかったから、なのかもしれない。  ──ふざけるな、って話だ。  別にマルミラを救う気なんかこれっぽっちもない。ただただ自分の欲求を満たすためだけに利用している。しかもあんなとても大事そうな、今後のマルミラ一味の趨勢に寄与してしまいかねない大一番をだ。
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