縄跳びと罠

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 そんなやつが、これ以上誰かのことを巻き込んでしまったら、もう終わりだ。  今度こそは周囲の一切を灰塵に帰して、そして嫌になって、飽きてしまって、面倒になって、魔女に乞うことすらが億劫になって、何もかもを投げ出して、逃げ出して、また別の誰かに乗り換えて、そこで安穏と生きることだってあり得てしまう。  はは。  ありそうで笑けてくる。  自然と笑みがこぼれた。  嬉しみや楽しみではない、失笑と呼ばれる部類の、苦い笑顔。 「何に負い目を感じてんのか知らねーが」  僕が考え込んでいたことに気がついてか、用具を漁って手に入れた竹刀でマルミラは僕の頭を軽く小突く。詰まんねえこと考えてんじゃねーよと、副音声が聞こえた気がした。  手加減なんてほどじゃなく手を抜いていたのだろうけれど、それでも芯がしっかりしているから、十分に痛く、重かった。 「人様のやったことは全部そいつの責任だ。誰が何を言おうと、誰がどうしようとだ。てめーができることは何もねえ、できるとすれば普段通り振る舞うくらいだ。無用な労りと、無用な慰めはむしろ悪口と変わらねえ」
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