縄跳びと罠

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「お前はいつもなんかに巻き込まれてる」  ほっとけ! 「この前の図書館の一件だけじゃねえ、忘れられた花の研究栽培に携わってたり、他校との交流遠征に加わってたり、そういや人形劇事件の時にも首突っ込んでたよな、例の機械が暴走した時もお前が近くにいたって話じゃねえか」  よくご存じで……。  僕はより一層小さくなる。  動いていなきゃという、強迫観念めいたものは確かにある。  それは憐に探してもらいやすくするための布石にも、僕の怠慢さの改善にも。けれど、それだけじゃないとまず弁明したい。  僕だってただの一般人だ。等しく平凡を、休息を享受したい願望はあって、生来僕は怠け者なので勿論そちらの意思のほうが過多気味。だから休めるなら休みたいと思っている。けれど、おそらく僕のよく知るある傍観者は、傍観者でありながら物語にちょっかいを出すのが好きで、ただ見ているだけの映像ほど詰まらないものはない、などと言いながら、僕をあらゆる渦中に引きずり込むのである。 「ほんと、我ながら忙しなく生きてると思うよ」  それが日常と化していることに、そろそろちゃんと疑問を感じた方がいいんだろうけど、憐のせいで巻き込まれることに耐性がついてしまっていて、それほど違和感がないんだよなあ。
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