縄跳びと罠

20/46
前へ
/739ページ
次へ
 話もまとまったしこれで一息つけるかな。  僕は姿勢を崩して、後ろに積まれていたマットにもたれ掛かった。雁字搦めに拘束されていたのであまり体勢に変化もなかったけれど。 「じゃ、マルミラにも優しくしなきゃだな」  僕は言った。  さきほどのマルミラの弁から意見をひとつ。 「ぶほっ!? なんでそうなるんだよ!」  吹き出したマルミラ。  そんなに変なこと言ったかな。 「マルミラだって僕のことを心配して、こうしてくれてるんだろ? だったらマルミラだって優しくされて然るべきじゃないか」  恩義というなら、マルミラだって同じわけだし。 「い、いやまあそうだけどよ……」  歯切れが悪い。  変なこと言ったならちゃんと訂正してほしいのだけれど。何を言い澱んでいるんだろう。 「そう言えば、優しくって具体的にどうすりゃいいんだ? なあマルミラ。マルミラだったらどうしてほしい?」 「えっ!? 私?」 「うん、マルミラの優しくされるってどんな感じ?」  優しく、と言われてチャンタクさんにはひとつ思い付いたが、マルミラにはどうしたらいいのだろう。戦線に参加してくれるなら願ったりかなったりだし、戦線に参加させないのも、当事者なのだからそれは勝手が過ぎるし。
/739ページ

最初のコメントを投稿しよう!

872人が本棚に入れています
本棚に追加