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「優しくったってなあ……、そういうのあんまりされるタイプじゃねえからなあ」
腕を組んでマルミラは悩む。
そんなに難しい質問じゃないと思うんだけど。
どうやらマルミラは、自分へのご褒美とかそういうのにはあまり興味がないらしい。
「ラナ姉妹ってマルミラに優しいよね」
あの姉妹がマルミラに抱く感情が親しみであるかどうかはさておき、彼女たちが他の十把一絡(ジッパヒトカラ)げの人間とは別格にマルミラを扱っているのは、超がつくほどに有名な怪盗を知らなかったほど、風景に無頓着な僕でさえ知っていることで、そんな彼女たちならきっとマルミラがされて嬉しいようなことを当然に行っているはずなのだ。
参考になるかと思い、僕はラナ姉妹の普段のマルミラへの振る舞いについて聞いてみた。
「そうだな、まず朝はおはようのキスで」
「はーいストップ」
開口一番がだいぶヘビーだよ!
あいつら朝っぱらから何してくれてんだよ。
まず、から入るんなら最初はもっとライトなやつにしてくれ。
この感じだとこれ以降もこんなテイストの優しさが続くのだろう。心の準備のために一時停止をかけたが、このまま話を終わらせてしまってもいいな。なんか参考にならない気がする。
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