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果し合いに指定された日時はまだまだ先だ。
だからその詳細を話すのは、こんなところでなくきちんとそういう場を設けて、改めて話すということでいいだろう。
問題は今現在置かれている僕の状況を打開する手段である。
もし彼女たちが僕を許してくれるのならばいくらでも謝罪をしよう。けれど、もしそんな程度のことで許されるのなら、わざわざこんなところでこんな状況に僕を追い込む必要性が全くない。話し合いの場を設けたいなら、椅子やテーブル、そして飲料が用意できる食堂であったり、あるいは逃げ場がないということなら屋上だって同じだ。屋上だったらベンチもあるし、なにより気分がいい。
どうして好き好んでこんな暗所に、どうしてこんなシチュエーションにしたのか。健康的な男の子であるところの僕からしてみれば体育用具室なんて、学校でテンションの上がる場所ベスト3に入るといっても過言ではないのだ。そんなところでなぜ緊縛されているのか、僕は斟酌しかねていた。さすがにそういうプレイをしたいわけではないだろうが、でも爛々とした彼女たちの瞳の輝きを見る限りでは、何かよからぬことを画策していることは明らかである。
どうなってしまうのか、どうしようとしているのか。
思い返すとマルミラとの会話も、どこか時間稼ぎのようにも思えてくる。
時間稼ぎ。
なら、その時間でできることは何か。
もしかしてだが、さっきからチャンタクさんが用具をいじっているのは、それなんじゃないか。てっきり僕とマルミラが会話していて、手持ち無沙汰に室内をうろついているものと思っていたけれど――そうだ、僕らが会話を始めた時には、チャンタクさんはもう行動を開始していた。
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