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チャンタクさんは、棚からボーリングのピンらしきものを発見していた。
上下を確認し、下部を見て眉をひそめ、上部を見て思い悩み、そしてなにか――突き刺すような動作をして、納得したのか持ち帰る。見ると、すでにいくつかの用具が収集されていた。
総じて、細長い。
ちょっと待て、さっきの冗談めいたチャンタクさんとマルミラとの会話。
拡張がどうとかなんとか。
あれが……冗談じゃなかったとしたら。
「マ、マルミラ……さん」
恐る恐る、僕は首を上げる。
僕の内心を汲み取って、マルミラは端的に言う。
「言うこと、聞くんだよな」
言葉がいやに鋭い。
竹刀の切っ先が、そんなはずもないのにキラリと光った気がした。
嵌められた。
びっくりするぐらい綺麗に嵌められた。
いや、過去形にするのはまだ早い。
嵌められるはこれからか。
ジーザス!
そんな……、まさか……、お、おいおい冗談にも程があるぜマルミラさんよ。そんな非人道的なことがこの現代にまかり通っていいはずがないじゃないか。引っかかるかよ、はは、嘘だろ、嘘なんだろ、な、マルミラ。冗談だと言ってくれよ、なあ。
僕はマルミラに視線を送る。
真っ赤な瞳は、ただ如実にこれが現実だと告げて、ちょっとだけ哀れみに似た感情を見せて煌めいた。
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