縄跳びと罠

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 気だけが急く。  何かをしたいという気持ちだけが逸(ハヤ)り、事態がまったく好転の兆しを見せない。  焦燥する心とは裏腹に、時間は刻一刻と消費されていく。  あれはどうだ、これならば通用するか、案が浮かんでは消え未だかつてないほどに僕の脳は冴え渡っていた。ただ問題があるとすれば、それは僕のスペックのほう。冴え渡ったところで、その案を実行できるだけの技術力を僕が有していない。  妥協点を見つけなければ。僕の能力の範囲と、現実性のある計画との折り合い、それを探し出せなければ、想像するのも恐ろしい末路が待っている。  しかし、他人に依存しきった生き方しかしてこなかった僕に、今更自分をうまく使いこなせるはずもなく、そう簡単に答えは見つからない。 「もっと早くに自分を鍛える努力をしてたらなあ」  マルミラに鍛錬を依頼したのは、ふがいない自分と決別するため。  自分一人でも何とかなるくらいのスキルを身に着けるため。  だったのだけれど、まだ始まって二か月そこそこ。こんな付け焼刃程度の鍛錬では、常日頃から自己研鑽を怠らない、筆頭をマルミラとする猛者の方々にしてみたら、何もしていないのと同じ。17点などと言ってくれていたが、きっとそれは大負けに負けての採点だったのだと思う。なんやかんやでマルミラもけっこう教育方針は甘めだしね。  そう考えたらよくわかる。  出し抜くのは無理だ。  僕みたいな青二才が完全な勝ちを求めるのはおこがましい。  だからせめて、片方だけでも動きを封じよう。  それができれば御の字だ。  足止めから勝機を見出そう。
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