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しかし。
考えているうちに、刻限は来てしまったようである。
ギラギラと、あるいはキラキラとした、いつになく爛々と光り輝く双眸をもってして立つ二人の姿が、気づけばもう目の前にあった。
僕は見上げる。
唯一の光源たる白熱電球を背に、逆光で黒く染まったその姿は、まさしく悪意のそれ。厭らしくも口角を吊り上げ、恍惚とした表情を浮かべる彼女たちの姿にも狂気を感じたが、それよりも僕はその先のものに目を奪われていた。
「さあ仕置きの時間だぜ」
竹刀を構えるマルミラ。
逆手に持つ。
真下に振り下ろすように突きができるという利点があるよね。
だが二本持っている点には言及するまい。
「か、観念してくださいっ!」
小手調べのつもりか、右手にはフェンシングの剣、いわゆるフルーレと呼ばれる針のような刀身。
遠慮してくれたのかもしれないけれど、たぶんそれ突き抜けるからねチャンタクさん。
それはまあいい(よくないけど)。
でももっと気になって仕方がない情景が、僕の目の前に広がっているのだ。彼女たちの手に握られた凶悪な武器をしても超えがたい恐るべき光景が。
机が置いてある。
何の変哲もないただの机。
しかしその机には、丁寧にも取りやすいようにいくつかの道具が並べられている。
まずプラスチック製らしき棒。筒状で中は空洞、見たところバトンのようにも見えるが若干細めである。これが一番右にある。おそらくこれが一番下のレベルということなのだろう。
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