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カメラ。
簡易的なものではなく、重厚感のあるお高そうな。
ばっちりとそいつを構え、ファインダー越しにこちらを覗くチャンタクさんが、さっきまでと同じに愉悦じみた、にへらと緩んだ表情を見せながら、僕の顔についてそう評したのだった。
「えへ、えへへへへへ」
それからまた何枚か、状況が飲み込めず呆けている僕を撮ってみて、その表情もいいだとか、もっと悩殺してとかなんとか言いながら、撮影会が続行された。
一通り撮り終え、満足げにチャンタクさんは、一仕事を終えたと言わんばかりに額の汗を拭う。
そして我にかえる。
「は……、べ、別にあれですよ! 大事に取っておいたりなんかしませんよ! ごめんなさい嘘です、そんな捨てたりなんかしないです! こ、これはそう罰です。自分の犯した罪を忘れないために形に残しておくという大事な意味がですね!」
ということらしい。
まあ写真くらい構わないけれど。
「つまり、元々あんな……ことはするつもりはなかったんだよね」
「あ、はい。恥ずかし写真を撮るのが目的でしたから。縛られて辱しめを受けたシガラキさんを写真に納めて、ことあるごとに恫喝すればきっと思いのままだろうとクルウさんが」
「状況が悪化した!」
奴め、なんだってこうイベントに首を突っ込んでくるんだ。目がないからって、こういうイベントに目がないとか、そんな上手い言い訳したって許されないぜ。
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