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マルミラ・ジュークは、中途編入という珍しい形で入学した僕に優しくしてくれる。僕に対して気があるからとか、僕が彼女に恩を売ったからとか、そんな打算的な付き合いでは決してない。
彼女は誰にだってそうなのだ。
お人好しというか、お節介焼きというか。いや別に彼女のことが嫌いだとか、彼女の好意が迷惑だとかいうのではない。ただ、僕があまりに何も知らなさすぎて、申し訳がないのだ。
ここでやっと覚えた魔法のそのほとんどは、マルミラのコーチによるものだ。本当なら師匠たるグレアリアなる魔女がそれをしなければならないのだろうが、生憎とあの怠惰の権化はそんなことをしない。
だから、彼女に頼りっきり。ありとあらゆる基礎知識、所作、この学校のシステムだって彼女に教えてもらった。いや、教えてもらっている途中。したがって、僕は彼女と行動を共にしているのである。
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