ラダ学園

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 そんないい人であるマルミラ・ジュークは、やはり人気がある。  短く切り揃えられた髪。火焔のような赤が、彼女の快活さ、溌剌とした性格を反映している。容姿こそ男性的だが、その目鼻立ちは恐ろしいほど整っている。かわいいというよりは綺麗、好きというよりは憧れを抱きたくなる。刀剣のような鋭さを持ち合わせ、事実武芸は中々の腕前なのだそうだ。  男女問わず、上級生から下級生まで、中には先生までが親衛隊という名のファンクラブの会員になっている。いやほんとちゃんとしろよ、教師。  なので、僕は結構危ない立ち位置にいる。何度奇襲にあったことか。当人が気がついていないのが唯一の救いだ。彼女のことだ、知ったら余計に気を使ってしまうに違いないのだ。だから僕はそのことを伝えないし、なんとか一人で立ち回れるほどに学べたら、さりげなく距離をとるつもりでいるのは秘密だ。
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