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少年は悲しかったのです。
理由はわかりません。
世界の誰一人も味方でないような、自分が消えてしまっても誰も悲しまないような、そんな気がしたのです。
誰も自分のことを、わかってくれない。自分は、ひとりぼっちなんだ。
そう思うと、少年の心は張り裂けそうになって、こっそりと窓を開けて、夜空を眺めるのでした。
目にいっぱいだった涙は、目に星を写そうとして渇いていきます。
そして、星のないところを見上げて思いました。
僕には見えないけど、あの暗闇のどこかに地球と同じような星があって、そこにいる誰かさんも、僕と同じ思いでいるかもしれない。
宇宙はとても広くて、存在する星の全てを地球から見ることはできないことを少年は知っていましたし、運良く少年が見ることができた星の光でさえ、遠い昔に放たれたものだということを、実感はできないけどわかっていました。
でも、ひょっとしたら自分と同じように、宇宙のどこかにいる誰かも、ひとりぼっちでさびしいと、泣きながら星空を見上げているかもしれない。
そう思うと少年の胸の中心あたりが、きゅうっとなって、
「僕は君のことを知ってるよ、君の悲しいこと、僕はわかるよ。
僕はここにいるよ、泣かないでいいんだよ」
と叫びたい気持ちでいっぱいになるのでした。
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