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いつしか大人になった少年は、老人になりました。
宇宙の話をしてやると、孫は決まって目を輝かせてたずねるのです。
「うちゅうじんはいるの?」
老人になった少年は笑って答えるのです。
「きっといるだろう。広い宇宙に、生き物がいる星は地球だけだなんて、さみしすぎるじゃないか。
悲しいことがあって、夜空を見上げているうちに泣き止むことがあるなら、それはどこか遠い星の子が、お前に『泣かないで』って言っているからかもしれないよ」
『海を行く者』は、太陽系を抜けてどこを旅しているのでしょうか。
昔少年だった老人は、今でも星空を見上げて思うのです。
遠い星に住む、泣いている誰かさんを思うのです。
「君に会える日は来なくても、ずっと君のことを思っているよ。
何万年かかっても構わないさ。
もし声が届いたなら、どうか返事をしておくれ。
君が泣き止んでくれるといいのだが」
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