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椿竜胆にとって神原椎名は唯一の弱点である。
物事に全く執着しない竜胆の唯一執着対象だ。
竜胆は長きに渡り椎名に恋い焦がれていたが、それは一方通行の思いだった。
しかし、ここで思わぬ誤算が生まれた。
それは2週間前に転校してきた存在であった。
生徒会役員を虜にし、それでも飽きたらないのか椎名まで求めだしたのだ。
彼はそれを拒んだ。
そして、なにが気に食わなかったのか他の役員は仕事放棄をしだした。
その為、ただでさえ仕事量の多い生徒会を実質1人で機能させていた。
生徒達は役員が流した根も葉もない噂を信じた。椎名が1人で機能させていたことも知らずに。
元々、俺様で高慢な性格の彼だが日に日に疲労からか覇気もなくなり、目の下の隈とやつれはそれはもう尋常じゃない程に。
そして、彼は壊れたのだ。
(あと少しだ)
竜胆は思った。
彼が死のうとした瞬間、竜胆が助ける。それが一番効果的だ。
そして、その時が来た。
屋上に1つの影を見つけ、走って向かう。
失敗は許されない。
『3、2、1…』
体を傾けようとした瞬間、彼は捕まった。
「俺の腕を愛を受け止めろ」
「俺がお前を愛してやる」
「お前の全てをおれにくれ」
歪んだ愛を纏う彼を受け止めた。
彼は壊れた愛しい人を捕まえた。
そして、2人は新しい世界を創った。
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