910人が本棚に入れています
本棚に追加
呆然と立ち尽くす雫の頭にポンと手を乗せて、日和さんは母親の微笑みで雫に言う。
「なに、大丈夫。うちの息子は結構面白いやつだからさ。きっと雫も気に入ってくれるよ。それともやっぱりダメだった、こういうの?」
「……私は、ここでお世話になる身ですから、文句とかは言えません。ただ、同年代の男の人と一緒に暮らすことに驚いただけなので」
「はは、種をまいたのは私の方だけど、そう言ってくれると助かるよ」
か弱い猫のように告げる岸野雫に、日和さんは安堵したように笑って胸を下した。
彼女が俺と一緒に暮らせるかに心配を抱くぐらいなら、最初からしなければいいのに。
「さて、次は息子の番かな」
岸野雫の質問ターンが終わり、俺のターンが回ってくる。
「とりあえず、俺個人としては一緒に暮らすことはいいんだけど」
「まあ、おまえ個人としては美少女と暮らせてウハウハ美少女ゲーム展開だもんな」
「ひとつ屋根の下! いきなりやってきた女の子と嬉し恥ずかしな展開を送る毎日! これぞ男のロマン! ……じゃなくてっ」
日和さんのテンションに乗っかったら、怪訝な目で岸野雫に睨まれていることに気がついた俺は話を戻す。
最初のコメントを投稿しよう!