クーデレ少女がやってきた

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「ああ、うん。まずは雫なんだけど、あんたとの関係は……まあ遠い親戚ってなるのかな? 私のおじいちゃんの兄からのどうとかって話だったかな? よくは覚えてないや」 「はぁ」  俺は中途半端に頷く。  まさか親戚に、俺と同い年の女の子がいるだなんてな。  日和さんは岸野のことを少し知っていたことを言っていたけど、俺は全然知らなかったぞ。 「それで話を続けるけど、雫のお父さんが、仕事の都合で転勤することになってね。お母さんはお父さんについていくことになったんだけど、雫があまりにこの町に残りたいっていうものだから、私が預かることになったんだ」 「転勤、か」  いきなり両親がいなくなって、雫はひとりぼっちってことか。  ていうか、この町に残りたいってことは、岸野は遠い親戚だったうえにこの町に住んでいたのかよ。  ほんと、俺って岸野のことなにも知らなかったんだなぁ。  それに、日和さんも近くに親戚が住んでいるなんてこと今まで一言も言わなかったし。  こんなかわいい子を紹介しないとは、意地悪な人である。 「それで由紀」   日和さんがひょいひょいと手をこちらに振ってくる。顔を、いや耳を貸せって意味かな?  母に耳を寄せると、小さな声で俺に伝えてくる。 「雫の両親から聞いた話なんだけど、あの子学園でも友達を作らないらしいんだ。家では結構しゃべってたらしいんだけど、学園じゃあ結構無口らしいからさ、外では上手くあんたも彼女に立ち回ってほしいんだ。せっかく同じ野々代(ののしろ)学園に通ってるんだからさ」 「そんなこと言われても、俺まだ岸野のこととかよくわからないんだけど……ていうか、俺と岸野って同じ学園なの!?」 「ああ、うん。その様子だと、学園でも顔を合わせたことなかったんだね。あんたって1年のとき何組だったっけ?」 「5組」 「ああ、雫は1組って聞いてたな。それじゃあ会わないか」  といっても、明日には入学式がある。その前にクラス替え発表が行われるからまだわからないけどな。
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