空回りする夜

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 ──家族会議とやらのあと、俺も岸野も部屋に閉じこもっていた。  特別部屋に用事などはなかったのだが、部屋の外、例えばリビングなんかにいれば岸野と顔をあわせてしまうかもしれない。  もちろん、岸野とお話かなにかしたいという気持ちはあるのだが、あの無表情無口の少女だ。  ……なにを話せばいいかわからねぇっ!  そんなわけで、春休み最後。夕方までの時間は、あいにく部屋でパソコンで動画を観ながら時間を過ごしていたのであった。 「と言っても、せっかくの1日を無駄にパソコン画面と向き合って過ごす自堕落な生活、悪くないっ!」  俺はひとり、誰に言うわけでもなく力説する。  最後の休みを、貴重に扱うわけでもなく、ただ無意味に過ごす俺、マジでセレブ!  休みが明けたら、学校行ってお勉強して、放課後になったらバイトして、毎日が忙しいからな。  たまにはこんな1日を過ごしても、バチはあたらないだろう。  さて、続けて欲しいゲームの宣伝PVでも観ようかなと、マウスを動かしていたところで、下の階から声が聞こえる。
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