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──家族会議でも使われたテーブル席に、俺と雫は腰かける。
俺と岸野は互いに対面しあう形座り、夕食が運ばれて来るのを待っている。
(やべぇ、気まずい! 気まずいですぜお母さま)
チラッとキッチンの方を見やれば、日和さんは料理の盛りつけ中だ。
こちらの視線に気がついた日和さんは、俺と岸野がこうして対面しあっている姿を微笑みながら楽しんでいる。
あの人、わざと俺たちを早く呼んで席に座らせやがったか。
日和さんの立場を考えれば、俺と岸野が早く仲良くなってほしいと思っているに違いない。
だからこの状況は日和さんなりの配慮なのだろう。
(このまま、岸野としゃべらないで生活なんて無理だしな。よしっ)
高原由紀! 俺は男だ!
岸野は自分から話しかけてくるようなタイプではないとわかっているのだ。
それなら、俺から積極的に話しかけていかないとだよな!
心を決めて、俺は岸野とコンタクトを取ってみる。
「岸野」
「……なに?」
未だ新鮮な顔つきで部屋を眺めていた岸野は、目だけこちらに向けて返事をする。
相変わらずの無表情。
けれど俺はめげない! だって男の子だもん!
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