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――夕ご飯のあと、俺は部屋に戻って昼間と同様に時間を過ごす。
結局、夕ご飯が運ばれてからも岸野と上手く話すことはできず、お互いに気まずい空気を残して部屋に戻ってしまうことになってしまった。
(うわぁ、俺マジでかっこ悪い……)
ベッドの上に座り、俺はひとり部屋でうなだれていた。
どうにかして岸野と会話に持ち込むことはできないだろうか。
けれど、岸野は今日この家に来たばかりで不安を抱えている状況だろう。ただでさえしゃべらないと言われる彼女に、会話をするなんて希望はありえるのだろうか。
(いや、ある!!)
俺を誰だと思っている? 去年の入学式、クラスメイトの顔すら覚えていない状況下、男女問わず、
「よう、久しぶり! 元気してた? 俺? 俺は元気! あれから分かれて時間立つけど、ひとりで上手くやってたか?」
「誰!?」
「おいおい忘れちまったのかよ。……ま、ゆっくり思い出していこうぜ。そんじゃよろしく」
「うまく丸め込まれようとしてる!? まあ、よろしくだけど」
と手当たり次第で話しかけまくった俺だぞ。コミュニケーション能力は飛びぬけているはずなんだ。
ちなみに、今回想で出てきた少年の名前は勝平(かっぺい)といい、たまたま同じクラスだったということで仲良くさせてもらっている。
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