空回りする夜

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「あ、えっと……これはだな、違うんだ」 「~~っ」  キッと睨みつけてくる岸野。  その表情はどう考えても怒っていた。  俺はなんとか弁解を得ようとする。  ここでなんとか言い聞かせないとまずい。直感で俺は感じていた。 「い、いつものクセで、開けただけなんだ! 誰か入ってるなんて思わなかったし! そもそも、入ってるならカギくらい……」 「カギ、壊れてた」 「え?」 「カギ、壊れてたの!」 「なんだと」  何故、今日のようなタイミングで壊れているのですか、これ!?  あれか、運命の神やらがイタズラでもしているんですか!?  そんなの、運命でもなんでもなく、邪神そのものだよ!? 「あはは、そういうことも、ある、んだな……」 「……って」 「え?」 「でてって!」 「そ、そうですよね、そうですよねぇ……って、岸野? トイレの芳香剤を掴むのやめないか? 大体このあとの展開が読めて──」 「はやくでてって!」  叫びと共にトイレの芳香剤(ラベンダー)を投げつけてくる。
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