空回りする夜

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「若いうちから暗い顔してたら、将来すぐハゲんぞ~?」 「それ、日和さんが言ったら説得力ありますね」  未だに歳取ることを知らない魔女だし。 「あはは、まあ、私は歳取ってもハゲるつもりないけどねー。ところであんた、くさくない? なに、歩く芳香剤って感じ」 「うわーんっ」 「ちょっ、なにっ? いきなりしゃがみこんでどうしたの?!」  気にしていることを早速言われてへこむ俺。  やっぱり、やっぱりまだ匂い取れてないんだぁ!! 「つか、廊下自体ラベンダーくさいんだけど。なに、トイレの芳香剤でも廊下にこぼしたの?」 「うう、そんなところっす」  岸野に芳香剤ぶん投げられたとは、なんとなく言いづらかった。  それよりも…… 「日和さん」 「うん?」 「俺、岸野と上手くやってける自信がない」 「あらま、初日から弱気な発言だなぁ、それは」  ただでさえ、奥手な女の子だし、加えてトイレ遭遇事件まで重ねてしまうと、どう接すればいいのかわからない。
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