空回りする夜

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 ──岸野の部屋に立って、ノックを二回するが、返事はない。 「岸野ー?」  呼びかけても返事はない。  芳香剤の件のあと、部屋に戻ったと思ったのだが、俺がシャワーで匂いを落としている間にどっか行ったのか?  それとも、居留守?  もしそうなら悲しいところだが、事実は自らの目で確かめないとである。 「岸野、さっきのことで話があるんだ。入るぞ?」  いくら声をかけでも返事が無いので、俺は失礼して部屋にあがらせてもらう。  岸野の部屋は、以前まで家の物置当然のように扱われていたのだが...... (なんということでしょう! 白を基調としたはそのままにし、水色のカーテンやカーペットを使うことであたかも水の優しさに包まれるかのようなお部屋! さらに、カラーボックスの上にコケなどを置くことで、癒やしの空間を際立てているのです!)  頭の中で某番組の巧の業解説をする人をイメージして、岸野の部屋をみわたす。  いやはや、つい最近まで物置だったとは思えない部屋の出来だな。
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