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──俺、高原由紀は本気で焦っていた。
岸野と暮らすこととなった1日目。
俺の失敗により、岸野から完全に信用は失われることとなった。
それを裏付けるように、今日の朝、岸野と一緒にご飯を食べるときであった。
四角いテーブルである我が家のリビングテーブル。
岸野はテーブルの右隅座っていた。
昨日の一件もあってすぐにでも関係を修復させたかった俺は彼女の対面席に座った。
けれど、けれどだよ!?
俺が岸野の前に座った途端、彼女は左に移動したのだ。
つまり、俺の正直から斜めの席に、なにも言わず、朝食に集中しながら、ナチュラルに横、つまり俺の斜め席に着いたのだ。
(ふふ、心理学で聞いたことがあるぞ。斜め席に座る男女の心の距離は遠いのだと)
つまりだ。……俺は岸野に避けられているのだ!!
朝、一緒に登校しようと誘おうとしたら岸野は俺が声かけるよりも先に学校に向かってしまった。
更に今日はアルバイトの日。岸野と家で話すチャンスはグッと減ってしまう。
岸野との距離は遠のいたままで固まる一方。
どうすればいいのか、俺は真剣に悩んでいた。
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