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「うーむ、どうしたものであろうか」
朝の通学路。誰も横に並んで歩いてはいない、ボッチでの登校。
岸野との関係がこじれてしまった今、彼女と仲を深めようと接触するより慎重な行動が必要となるだろう。
だが、朝の通り、岸野が俺に対する信用は0。いや、マイナスルート直行であると言えよう。
なので、これから先も俺が近づけばあの子は逃げ、関わろうとするなら気に触れてしまうということになってしまうだろう。
(これ、時間が解決してくれることなのか?)
いわゆる積みの状況。王手がかかった策士である。
「だが、ここでマジシャンのごとく危機状況から回避するのが俺である! 考えろ、考えるんだ俺!」
俺を急かす要因となってしまった日和さんの言葉。
そこに答えはあるではないか。
岸野は理由もなく怒るようなやつじゃないし、素直に気持ちを伝えれば受けとってくれる良い子なのだと。
きっと今の俺には真剣味が足りないのだ。
まずは昨日のこと、写真立てを壊してしまったことを謝ろう。
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