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俺と岸野が通う野々代学園の制服を着こんで、右隣に一緒に 立つと笑顔でこちらの顔を見上げていた。
対する俺は……
「まさか朝からみつな先輩に会えるだなんて、光栄ですね」
「と、言いながら笑顔ひきつってますね? 踏んでもいいかしら?」
妙な汗を背中に感じながら、作り笑顔を浮かべるのに精一杯であった。
俺はこの人には逆らえない理由がある。
それを知っていてなお、この人は俺の秘密を盾にこうして話してくるのだ。
「はは、まさかっ。恐れ多くもみつな先輩に会えたことが嬉しすぎて、思わず頬が緊張し──ってアウチッ!?」
その小さなかかとで、俺は足を踏まれる。
反応を見て、みつな先輩は「ふふっ」と軽快に笑った。
「ダメでしょ、由紀? 小さな女の子に踏まれたときは、“ありがとうございます!”って喜ばないと。ねー? というわけで、もう一回♪」
「あ、ありがとうございます!」ありがとうございます!
さっきよりも強く、俺は足を強く踏まれる。
みつな先輩は俺が痛みをこらえている姿を、いとも楽しそうに眺めている。
(というより、うっとりとしてる!?)
グリグリと踏みにじりながら、みつな先輩は俺の頭に手を伸ばすと、優しく撫でてくる。
下は痛く、上は……残念なことに気持ちいい。
みつな先輩は学園の中でもアイドル的なかわいさを持っている。
そんな女性に頭を撫でられたら、嬉しくないはずはなかった。
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