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──ギリギリの時間でなんとかクラス発表の時間に間にあい、さっさと確認を済ませると指定された教室にそれぞれ向かう。
クラス替えが済んだのなら、まずは仲間の確認。
実は急いでいたため、クラス表をろくに目を通してなかったため、誰がいるのかわからないのだ。
(ふむ、これはこれでイベント性があっていいな)
残りの学校生活2年をどんな仲間と過ごすのか、楽しみである。
ま、知らない奴とだって、俺はすぐに仲良くなってやるがな!
「やあ、そこの少年。俺俺! 覚えてない? あの日の夕焼けの空の下での殴り合いのこととかさ」
「覚えてねぇよ!? ていうか、その絡み方、去年とまるで変わらないのなっ!」
「ぬ? 貴様、勝平か?」
「知らないで話しかけたのかよ!?」
教室に入って適当な男子に話しかけてみれば、前のクラスで仲のよかった少年・佐野勝平(さの かっぺい)がすぐそこにいた。
キレのあるツッコミ。ワックスで後ろ頭を盛っていて、羊のような髪型をしている。
顔も割と女顔で、身長は俺の肩1つ分高い。
しかも、イケメンなので俺はいずれこいつを世の中の闇の中にほふらねばならない運命にある。
良い友人なのだけれども、悲しい運命(さだめ)にある関係が俺と勝平なのだ。
「まさか、また由紀と一緒のクラスになるとはな」
「お、そうなんだ? それじゃあ去年みたいに──」
「ああ」
「楽しい毎日になるな」
「ひどい毎日になるな」
見解の相違とはよくあること。
それをお互いに受け入れてこそ、真の友情があると思うんだよね。
勝平はショボンと肩を沈めているが、これは肩の力を抜いてリラックスしているという意味に違いない。
そこまで俺と一緒のクラスがいいとは、今年も面白おかしく過ごしたくなるじゃないか。
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