910人が本棚に入れています
本棚に追加
なのにこの人ときたらわざわざハードにも2時間走ってくるとは。
そこまで体力伸ばして、魔女の次は超人になるつもりですかね?
日和さんは大したことないよとばかりに笑ってみせる。
「ははは。いやいや、流石に慣れましたがな。おまえも少しは身体動かせよ? ゲームばかりしてないでさ? あ、ちなみに名前は岸野雫(きしの しずく)っていうからね? よろしく」
「…………」
ただの戯言かと思いきや進む話。
しかしこうした妄言が続くことなんて、この人と暮らしているうえではよくあることだ。
無視無視。話を戻そうか。
妄言の相手より、家族として普通の話がしたいもんね。
「健康な身体だなぁ。いい加減歳を取るのを知ってくださいよ」
「あっはっは、身体が歳を取らないのだから仕方がない。それと、あと1時間で来るそうだから、よろしく」
「…………」
1時間ねぇ。そうやって急かして、俺を玩ぼうって算段なのだろうか?
しかし、本当だったら……?
いやいやあるはずない! 人間なんて犬猫みたくほいほい拾えるものではないのだから。
人間とはそれだけ大変なのだから。日和さんも、一応職業は看護師ってことなのだから、そのことも理解しているはず。
けれど……それを踏まえた上で本当にやってしまいそうな気がするのが、この人の怖いところだ。
最初のコメントを投稿しよう!