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「えっと」
俺と岸野を交互に見比べる勝平。
彼なりに俺たちのことをどう思ったのかは知らないが、ニィッと快活に笑うと、俺の肩に手を置いた。
「ふむ、おまえが話しかけるのも躊躇うほどの女子か。よし! まかせとけ」
「あ、おい!?」
勝平は席から立ち上がると、俺の横にまで移動する。
なにを勘違いしてるんだおまえは!?
俺が止める暇もなく勝平は人当たりのいい笑みを浮かべると、岸野に話しかける。
「えっと、岸野さん、だよね? ちょっといいかな?」
「なに?」
ぴたりと教材をしまう手を止めて、岸野は顔をあげる。
「いや、席も近いことだし、挨拶くらいしたいなって思ってね。俺、佐野勝平」
「岸野雫」
「おう、あ、ちなみにこいつは俺の友達、高原由紀ね」
「うっ」
岸野は勝平からゆっくりと俺の方にへと目を向けてくる。
物静かな目に、無表情。拒絶の意思にも、それは捉えることができた。
(勝平のやつ、余計なことを)
心の中で俺は呟きながら、形通りの会釈をした。
「んで、早速で申し訳ないんだけど、岸野さんってさ、今日は暇?」
「なんで?」
「これからさ、クラスの親睦会をしようって話になっててさ、できる限り人を集めろって言われてるんだ。場所は学校前の喫茶店なんだけど、どう?」
クラスの親睦会?
いつの間にそんな話が上がっていたのだろう?
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