ひまわりの少女

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(少し気まずい思いしちまったじゃねえか) 「けど、素直でいいこじゃん。あんまり表情には出なかったけど、なかなか反応あったぞ?」 「えっ? そうなの!?」  あの無表情の岸野から、勝平は一体何を読みとったというのだ。  俺には素っ気ない素振りにしか見えなかったと言うのに。 「ほんの少しだけどな。姉ちゃん慣れしている俺だからわかったと思うんだが、あの子、褒めたら少し笑ってた」 「あの岸野を……。おまえって結構すごいやつだったんだな」 「いや、おまえの変人っぷりに比べたら普通だと思うぞ。なにせ一年の最初、階段を登るあのみつな先輩に“パンツ見えてますよ”と大衆の前で言えたんだからな」 「すみません、その過去は私の黒歴史ですのであまり口にしないでもらえますか」  その一件以来、俺はみつな先輩に目を付けられ、弱味まで掴まされたというのに。 「ところで、由紀。これから本当にクラスで集まるつもりなんだけど、おまえも行かないか?」 「あれ、その話はとっさの嘘なんじゃ?」 「ん? ああ、半分はな。人数はこれから集めようって思ってたところだからな。それよりも、俺はお前と岸野の関係について聞きたいんたが、なんかあるよな?」 「さ、さあ、気のせいじゃないか?」  岸野のためにも、俺とあの子が一緒に暮らしていることは黙っておいた方がいいだろう。  下手に口にしてみれば、岸野に益々嫌われかねないからな。  俺は逃げるように席を立ち上がる。 「あ、おい、来ないのかよ?」 「悪い、今日バイトなんだ。遅れたらみつな先輩に殺される」  あのドS先輩のことだ。マジである。 「そうだったっけか。それなら仕方がないな」 「悪いな。また今度誘ってくれ」 「わかった」  みつな先輩との事情を知っている勝平は苦笑いを浮かべると、小さく手をあげる。 「そんじゃ。岸野と仲良くやれよ?」 「っ! おまえっ!?」 「はっはっは」  事情を大方察したのであろうか。  意味深に勝平はそう言葉にして別れを告げるのであった。
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