ひまわりの少女

17/46
前へ
/634ページ
次へ
 自分が卑しい存在と自覚させてくるみつな先輩の言葉。  否定したい! 否定したいけれども、否定などできない。  だって事実だから! 男とはそういう生き物だから! 「ああ、自分の存在に葛藤する由紀くん、かわいぃ。もっと、もっと先輩に由紀くんの苦悩するとこ、見せて?」  うっとり顔でみつな先輩はしゃがみこむと俺の頭を撫でてくる。  しかし、みつな先輩がしゃがみこむことで、エプロンドレスのスカートの中が見えそうで、けどギリギリ見えなくて…… 「はっ!?」  そこで俺は気付いてしまう。  俺はみつな先輩のスカートの中を覗きたいと思ってしまっていること。  そしてみつな先輩は、わざと見えそうで見えない位置にしゃがみこみ、俺の反応を楽しんでいることを。 「よしよし、いいんですよ? 男の子ですもん、女の子の秘密、その目で知りたいんですよね? うふふ、いけない子なんですから」 「ぐわあぁぁ!!」  寛容な態度を取られることで、ますます自分が醜い存在なのだと自覚させられる。  みつな先輩は一見すれば小学生とも見える相貌。  そんな女の子に暴かれる自分の心。  羞恥心極まる状態。もう心が折れそうであった。 「俺、もう更衣室行きます! 行かせてもらいます!」 「あらあら」  屈した姿勢を立て直すと、みつな先輩の横を通り抜けて俺はスタッフルームへと急ぐ。 「うふふふふ。そして由紀くんは、己の欲望を慰めるために、しばらくスタッフルームに籠もるのだった、っと」 「変なナレーションはいいですから!?」  過ぎゆく後ろでは、面白おかしそうにみつな先輩が微笑む。  これからは指定の時間よりももっと早くに店へ来よう。  俺は心から自分に誓うのであった。
/634ページ

最初のコメントを投稿しよう!

910人が本棚に入れています
本棚に追加