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自分が卑しい存在と自覚させてくるみつな先輩の言葉。
否定したい! 否定したいけれども、否定などできない。
だって事実だから! 男とはそういう生き物だから!
「ああ、自分の存在に葛藤する由紀くん、かわいぃ。もっと、もっと先輩に由紀くんの苦悩するとこ、見せて?」
うっとり顔でみつな先輩はしゃがみこむと俺の頭を撫でてくる。
しかし、みつな先輩がしゃがみこむことで、エプロンドレスのスカートの中が見えそうで、けどギリギリ見えなくて……
「はっ!?」
そこで俺は気付いてしまう。
俺はみつな先輩のスカートの中を覗きたいと思ってしまっていること。
そしてみつな先輩は、わざと見えそうで見えない位置にしゃがみこみ、俺の反応を楽しんでいることを。
「よしよし、いいんですよ? 男の子ですもん、女の子の秘密、その目で知りたいんですよね? うふふ、いけない子なんですから」
「ぐわあぁぁ!!」
寛容な態度を取られることで、ますます自分が醜い存在なのだと自覚させられる。
みつな先輩は一見すれば小学生とも見える相貌。
そんな女の子に暴かれる自分の心。
羞恥心極まる状態。もう心が折れそうであった。
「俺、もう更衣室行きます! 行かせてもらいます!」
「あらあら」
屈した姿勢を立て直すと、みつな先輩の横を通り抜けて俺はスタッフルームへと急ぐ。
「うふふふふ。そして由紀くんは、己の欲望を慰めるために、しばらくスタッフルームに籠もるのだった、っと」
「変なナレーションはいいですから!?」
過ぎゆく後ろでは、面白おかしそうにみつな先輩が微笑む。
これからは指定の時間よりももっと早くに店へ来よう。
俺は心から自分に誓うのであった。
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