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──ソレイユから約10分ほど歩いた場所。そこに店が並ぶモールが存在する。
みつな先輩に招かれるまま入った店は、女の子が好みそうな雑貨店。
赤やピンクの商品が他の店よりも多いところで、男性客の俺がどこか浮いてしまっているような気がする。
「由紀くん、物珍しそうな顔ですね?」
商品を物色していたみつな先輩が、俺の表情を面白おかしく伺ってくる。
「それはそうですよ。普段、こういう店には入りませんから」
「ふふ、だからですか。なら、あえて由紀くんから離れて、困惑するところを見るのも面白いかもしれませんね」
「やめてください。恥ずかしくて死んでしまいます」
この人なら本気でやってきそうなので、精一杯勘弁を願った。
「ところで、岸野とのこと、聞いてもいいですか?」
「はい?」
「ほら、ソレイユ去る前に、あとで岸野と先輩の関係を教えてくれるって言ったじゃないですか」
「あらあら、忘れてました」
うっかりしてました、とばかりに上品に頬に手をあてるみつな先輩。
こうしてみると、やっぱり仕草とか上品な人だよなと改めて思う。
「由紀くんをこのあとどう困らせてあげようかと思 案してましたらつい」
本当、どうしてこんなにもSっ気が強いのだろう。この部分がみつな先輩の癖っけだよな。
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