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「友達だから、あの子が何も言わなくてもなんとなくわかるんです。岸野さんだって、昨日のことはショックだったでしょうけど、いつまでも怒っているわけはないと思いますし」
ついでに、「あの子は優しい子で、怒るのは得意ではないですから」と最後に付け足した。
「きっと、由紀くんみたく変人は、話したことのないタイプの男の子だからどう接したらわからないんだと思います。だからつい、心にもなく冷たい態度で返してしまうのかと」
「なるほど。俺みたく紳士な男の子と話すのはまだよくわからない、と」
「ふふ、出会った当初、階段から落ちそうになった私をかばうかと思いきや、お尻を掴んで押し倒した経歴を持つ由紀くんから紳士だなんて。ありえませんね?」
「……」
顔を背けて、俺はこれ以上軽い発言は慎むことに決める。
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