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──プレゼントを選び終わって店を出て、ソレイユの近くにあるみつな先輩の家まで送る。
「勝手についていっただけなのですから、わざわざ送る必要ありませんでしたのに」
「夜遅くに女の子ひとりで歩かせるわけにはいかないでしょう」
ただでさえみつな先輩は、俺より年上には見えないほど幼い容姿をしているのだから尚更だ。
「由紀くんに守ってもらうなんて屈辱ですね?」
「そんなこと言わないでくださいよ。これでも力には自信あるんですから」
「冗談ですよ。少しぐらいは期待してます」
そう言うと、みつな先輩は家の小さな門に手をかける。
みつな先輩の家は小さいけれども中庭がついた一軒家で、洋風な造りが印象であった。
俺自身、何度か家にあがらせてもらっているが、床暖房が備え付けられてたりオール電化だったりと、俺の家とは違うところが多々あり新鮮だった。
「それじゃあ由紀くん、また明日」
「はい、みつな先輩も今日はお付き合いくださり、ありがとうございました。おやすみなさい」
「はい、おやすみなさい。岸野さんとのこと、応援していますよ」
「……善処させていただきます」
玄関の奥へと消えるみつな先輩の背中を送り終えると、俺は呼吸を整える。
家に帰れば岸野も帰っている。
俺が学生鞄に入れた彼女へのプレゼント。
それを上手く渡せるか、昨日みたくヘマはしないだろうか、心配であったけれども、応援してくれる人たちがいる。
その人たちのためにも、岸野と絶対に仲良くなってやろう。
「よし、帰るか」
家までの帰路、岸野にプレゼントを渡すタイミングを考えながら、俺は夜の道を歩くのであった。
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