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「キャアァァァァ!!」
夜の街の静かな空間を、悲鳴が切り裂いた。
入り組んだ暗い路地を右へ左へ、少女は走る。 しかし相手の方が速く、すぐに追い付かれた。
「グヘヘヘヘ、良いカラダしてるじゃねぇか。 ちょっとタッチさせてくれよー」
いかにも三下の悪者っぽい黒タイツが、これまた三下の悪者っぽいセリフを少女に吐く。
わらわらと集まってくる。 数は5、6人。 それも男性。 とても少女1人でなんとかできるものではない。
「おさわりおさわりー」
手をいやらしく動かしつつ、ゆっくりと近づいていく。
「助けて……! 誰か、助けてーーーーー!!!!!」
少女が天に助けを求めたとき!
「ハハハハハハ!!」
再び闇を切り裂く声。 しかし今度は高笑いだ。
「誰だ……!」
辺りを見回す黒タイツたち。 しかしここは狭い路地。 誰かが隠れる場所などない。
「あそこだ!」
誰かが上を指さした。 すると屋上ではなく、非常階段の二階の踊り場に三人の戦士がいる。
そいつらは鉄柵に足をかけ、
「とうっ!!!」
と言って足を柵から下ろし、普通に階段を下りる。
最後の一段だけジャンプで飛び下りると、一人ずつ名乗る。
「俺がリーダー、ドエムレッド!」
「俺もリーダー、ドエムブラウン!」
「僕はサブキャラ、ドエムブラック!」
「私は普通、ドエスピンク!」
全員集まって、ポーズを決めた!
「我ら、奴壊夢編隊(ドエムヘンタイ)、ナニが悪いんジャー!!!」
それを聞いた黒スーツの一人が叫ぶ。
「何者だてめぇら!」
「今名乗ったろうが!! 人の話聞いてた!?」
「とりあえず、やっちまえ!」
「お前はリーダーじゃねぇだろ!」
ケンカしながらも、とにかく突っ込む敵。
「大丈夫?」
不安そうに色とりどりなタイツに身を包んだ戦士を見つめる少女に、レッドは安心感を与えるために笑って答える。
「大丈夫! 必ず守るよ!」
「……どう見ても大丈夫じゃなさそうだけど」
「俺たちはヒーローだ! 悪者には負けない!」
「そうじゃなくて!」
ぶんぶんと首を振る少女。
「……頭が……大丈夫……?」
「…………」
まぁ、どっちもコスプレしてるしねー。
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