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その一言で嫌な予感が頭をよぎったが、今日はまずい。
「いや、明日はオヤジの命日なんだ。二日酔いした体で墓参りに行きたくない」
ビルの二階から扇状に広がる赤いカーペットの階段を慣れた足踏みで上っていく。
「墓参りか……」
「そう……墓参り」
明日はオヤジの命日だ。俺が高校へ入学する年に事故で死んだ。居眠り運転したトラックに歩道を歩いていらところを突っ込まれたらしい。
正直、今時珍しいとは思うが、俺はオヤジが大好きだった。勉強にスポーツ、ビリヤードやダーツなどの遊びでさえ、オヤジは何でもできた。そして上手だった。
小さい頃からなんでも教わった。教え方も上手く、俺は何でも吸収した。遊びをふざけながらも、上手にこなす姿は誰よりもカッコ良く、漠然と大人になったらオヤジみたいになりたいと思っていた。
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