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美晴は一瞬、壁に掛けてある黒い男物のジャケットに目を移した。
「翔くん以外の人としたの」
現在の状況の理解。それと同時にこめかみを殴られたような感覚。そして彼女の肯定の言葉。一切の言い訳もない。
「は?誰だってわかるだろ!この状況の意味ぐらい。なんで浮気したんだ?誰なんだ、その男は?」
「理由なんてないよ?ただ、したかっただけ」
思考が追いつき、様々な疑問が頭を駈け巡った。
「そんな答えで納得するわけないだろ!こうなった経緯もあるだろ。全部だ、全部!俺が納得できるように全て説明しろ」
翔は喉に力を込めて怒鳴った。一瞬にして体温が上がるのがわかる。
美晴は相変わらず、っといった様子でむしろ慈愛に満ちたとも思える目で微笑んでいた。
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