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「 ……よかった」
けれども悲しそうに首を振り、答える。
「すまないが、私は人間ではない」
目の前にいたのは四十代ぐらいの男。この紅蓮の世界において、男の着ているシミ一つないその白いスーツはあまりにも浮世離れしすぎている。
だからわたしはこの男の人間じゃあないという言葉をすんなりと納得してしまった。
だったらこの男の人は誰なんだろう?
「……神様の使い、とか?」
なんとなく出た言葉だけれど、わたしにはこの男の人を表わすのにこれ以上のものはないと思った。
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