5人が本棚に入れています
本棚に追加
歩けども、歩けども世界は一向に変わらない。
燃え盛る炎のような空。緑一つなく、代わりに崩れた建造物と無数の機械たちの屍だけが野ざらしに広がる果てのない砂漠。
――――――やっぱりダメだったか……。
目頭が熱い。膝に力が入らなくなったわたしは灼熱の砂にその身を預ける。
熱せられた砂がわたしの身体を容赦なく焼くけれども、そんなことは今のわたしにはどうでもよかった。
ポロリ、ポロリと流れ落ちる涙。それを拭うことすらせず確信を持って呟く。
「―――――嗚呼、もう誰もいないのか」
わたしの身体は既に限界だった。もうわたしに残された時間は半刻もないだろう。そのことがなんとな く、けれども確実な予感としてあった。
最初のコメントを投稿しよう!