No.001 War's Application.

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◇  チャイムが校内に鳴り渡り、授業の静けさが一斉に生徒達の談笑に変わっていた。  生徒の中には食堂で小腹を満たす者もいれば、高校生の有り余る活力を活かして校庭でサッカーに興じる者などもいるが、大半の生徒は教室で過ごしている。  そして教室に残っている生徒がしていることは大抵、決まっている。  携帯電話の画面との睨めっこだ。  それは高校内でも言える事で凌駕高等学校二年C組の生徒の大半が『スマートフォン』を所持している。  だから休み時間ともなればみんながみんな、携帯電話の画面をせっせとタッチしてる。  そんな教室の中、窓際の席で一人の生徒は携帯電話の画面に酷く悪態をついていた。  最近では休み時間に携帯電話を触る生徒は他愛のない教室風景なのだろうが彼は違った。  彼はそれを異常と捉えていた。  何が面白くてこんな事ををしているかは、彼には全く理解出来ないのである。  しかし理解出来ない理由は彼自身わかっていた。  それは携帯電話が嫌いだという事。もっと言うと機械的なものが大っ嫌いだという事である。  彼の名前は甲斐斗真(カイトウマ)、16歳。天性の機械音痴だ。  何を持って斗真を機械音痴だとしているのかはいくつか話を挙げれば分かるだろう。  一番最近の話をすると、二個下の妹にテレビ番組の録画を頼まれて何とか番組を予約しようとしたが、しまいには予約が出来る出来ない以前の問題では無く、テレビレコーダーを壊してしまったのである。その時は中学生である妹にガチギレされた。  こんな事は日常茶飯事だ。  斗真の機械機器を壊した不名誉な武勇伝をリストに書き出したらノートを何冊使うやら。  しかしそんな斗真が何故、『スマートフォン』を持っているかと言うと、よくある話だ。  斗真とは打って変わって、超現代っ子の妹が『スマートフォン』を欲しいなどと言い出し、それを聞き入れた母が、 「なら、斗真もついでに買っちゃいなさい」 などと言い出したからだ。
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