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斗真はうなだれながらもメールの使い方を理解しようと、『スマートフォン』の画面を睨みつけていたわけだが、どうにもチンプンカンプンで諦めて机に突っ伏した。
「誰だ、携帯電話なんて作ったの....」
機嫌悪そうにうなだれる斗真を知ってか知らずか一人の生徒が斗真に声をかけた。
「なにやってんだ?斗真?」
その声に斗真がしかめっ面をあげると、そこには短髪でメガネの男子生徒が斗真に笑いかけていた。その生徒をみるなり斗真は不快そうに眉間にシワを寄せた。
「光輝(こうき)か、何もやってねーよ」
斗真はぶっきらぼうにそう言うと携帯電話をポケットにしまった。
藤原 光輝(ふじわら こうき)は斗真の中学からの腐れ縁で一年、二年とクラスも一緒だ。
無愛想な斗真に光輝は「ふーん」と言いながら前の席に腰を下ろすと、周りを見渡した。
「けどよ、周りが斗真の事、怖がってるから気ィつけた方がいいぞ」
「周り?」
光輝に言われ、初めて斗真は周りを見渡した。すると斗真は妙なクラスの雰囲気に気がついた。斗真と目が合うクラスメイト達がやけによそよそしく目を逸らすのだ。
斗真は「ああ、なるほど」とクラスメイトが目を逸らす理由に思い至った。クラスメイトが怖がっている理由は多分、この髪だ。
そう思った時には斗真は自分の髪を無意識にいじっていた。
斗真の髪は長めなのだが、右側は耳の周辺を刈り上げ、左側には編み込みという奇抜な髪型をしているのだ。いわゆる不良と呼ばれても仕方のない髪型だ。斗真自身はそうは思っていないのだがクラスメイトからしてみればそういう事になる様だ。
実際、斗真は髪型を除けば、不良らしき所は無いのだ。しかしクラス替えをしたばかりのこの時期は斗真を不良と思う生徒が大半の様だ。一年生でクラスが一緒だった生徒は斗真が不良では無い事を知っているので普通に接してくれている。今回もクラスが斗真の髪型に慣れるまでは仕方ない様だ。
「そのうち慣れんだろ」
「その髪型やめたらいいのに」
「別にいいだろーが」
斗真にこの髪型は変える気は毛頭ない。別に気に入ってるわけではないがこの髪型でいたい理由が彼にはあった。
斗真のぶっきらぼうな答えに光輝は「そうですか」とあっけなく言うと自分のポケットの中に手を突っ込み、携帯電話を取り出した。
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