90人が本棚に入れています
本棚に追加
光輝は携帯電話を取り出し画面を操作し始めた。
「んなことより....
このアプリ知ってるか?」
光輝はそう言うと自分の携帯電話の画面を斗真の眼前に持っていった。
「『んなことより』とはなんだ....ったく..」
光輝は毒づきながらも光輝のスマートフォンの画面を覗いた。
すると光輝の携帯電話の画面には赤い丸に「touch」とでかでかと表示されていた。元々機械音痴の斗真がアプリを知っているハズもなかった。
「何だそれ?知らねー」
斗真は画面を見ながら首を傾げた。そんな斗真を見た光輝は携帯電話を自慢げに両手で構えた。
「そうか!よ~し、よく見とけよ~....」
光輝はそう言うと真剣な顔でおかしな緊張感を醸し出したのだ。
「おい、光輝何やってん....」
斗真が光輝に何をやっているのかと問いただそうとした途端、光輝は携帯電話の画面を指で一心不乱に叩き出した。
「っーーーーーーー!!!!」
それに唖然とした斗真はしばらく一心不乱に携帯電話を叩くクラスメイトを斗真は呆然と見ていた。しばらくすると光輝は携帯電話を叩く手を止め息を吐いた。
「よっしゃぁっ!!!」
突然、光輝は歓喜の声を上げた。
「いや、全く意味わかんねーから!!」
斗真は光輝の謎の行動に思わず席を立った。すると光輝は嬉しそうに斗真に画面を見せつけた。
「新記録達成だ!」
「新記録?」
「このアプリは10秒間に何回多くタッチ出来るかってゲームだ!」
「しょうもねぇ!!」
斗真はアプリの内容を知って愕然とした。
「何が面白いんだか....」
斗真は光輝に呆れて席に持たれ掛かった。
「斗真もやってみるか?」
光輝は新記録を出した事でテンションが上がったのか斗真に携帯電話を差し出した。
「誰がやるかよ、そんなクソゲー」
斗真が光輝を軽くあしらおうとすると光輝が笑みを浮かべた。
「何だよ?気持ち悪い....」
斗真は光輝の不適な笑みを不快に思い眉間にシワを寄せた。
「ごめんごめん、機械音痴の斗真にはそのクソゲーでさえ俺に勝てねーからやらねーんだよな?」
光輝はそう言うと焚きつけるようにニヤリとした。
「あ!?」
光輝の挑発は負けず嫌いの斗真に火をつけた。
確かに斗真は機械音痴であると同時にかなりのゲーム音痴でもあるが、反射神経と運動神経は誰にも負ける気はしなかった。
最初のコメントを投稿しよう!