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実際、中学まで斗真はサッカー、バスケ、陸上競技の数々の表彰を貰っていた程だ。
たかだか10秒間により多く携帯電話の画面をタッチするだけだ、光輝の記録なんて軽く超えるだろう。
「....言ってくれるじゃねーか、
俺に喧嘩売ったことを後悔させてやらぁっ!!」
斗真は光輝から携帯電話を勢い良く奪い取ると両手で光輝の携帯電話を構えた。
「......」
勢い良く構えた斗真は動きを止めた。斗真はしばらく画面を睨みつけると光輝の方を見た。
「これどうやったら始まんの?」
その時点で光輝は大笑いしていた。
大笑いする光輝をよそに気を取り直した斗真は携帯電話を構え、勢いよく画面を叩き出した。斗真の連打のスピードは光輝が言葉を無くす程の速さだ。
斗真は10秒間やり切ると一息ついた。これなら楽勝で光輝に勝っているだろうと斗真は余裕の表情で携帯電話の画面を見た。
「0..回..だと....?」
斗真は自分の記録に凍りついた。そう斗真の記録は0回だった。
「0回って何だよ!!?」
画面を見て立ち尽くしている斗真に光輝が詰め寄った。
「どんだけ機械音痴なんだよ!?真ん中叩くだけだろうがぁ!!」
光輝がそう詰め寄ると斗真も自分の機械音痴さにも驚いたが悔しさも溢れてきた。
「うっせぇよ!!このゲームがクソゲーなんだよ!!」
斗真はそう毒づくとゴミ箱に目が止まった。
「くそ、携帯電話なんて」
斗真は迷い無く光輝の携帯電話をゴミ箱に投げ捨てた。
「オイィィィ!!俺のケータイィィィ!!!」
光輝は無情にも斗真に捨てられた携帯電話を急いで拾い上げた。
光輝は自分の携帯電話の無事を確かめると攻めたてよう斗真を睨んだが、機械音痴で負けず嫌いの斗真に何を言っても無駄だと判断した。
「斗真もインストールしてみたらいいのによぉ」
光輝は斗真にそう嫌味ったらしく言うと再びアプリに挑戦し始めた。
「誰が、んなアプリするかよ」
斗真はそう言うと自分の携帯電話を取り出してホーム画面を開いた。
インストールは斗真の嫌いな言葉の一つだ。妹に何度も教えて貰ったが全く意味がわからない。
斗真のホーム画面はアプリが無くガラガラであった。そんな画面を斗真は睨みつけた。
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