No.001 War's Application.

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◇ 「ただいま」  斗真の声が古い家に響いた。すると奧から妹の声がした。 「おかえり~」  斗真の家だ。曽祖父がいい家柄だったらしく築は古いがかなり広い。  斗真は自分の部屋がある二階に行こうと居間の前を通りかかるとソファーに寝そべる妹が目に入った。  ソファーに寝そべる妹、架奈(かな)は何やら携帯電話を真剣な眼差しで見ている。不思議に思った斗真は居間に入った。 「おい....」  斗真が架奈に何をしているのか聞こうとすると今話しかけるなとばかり唸った。  そんなに架奈の事に興味がなかった斗真は「そうですか」っと架奈の事を流した。喉が渇いていた斗真は喉を潤そうと台所に向った。斗真がお茶を飲んでいると、居間の方から架奈の「あ~....」っという溜息が聞こえてきた。 「兄ちゃんの所為で記録下がったじゃない」  そう言うとソファーに寝転がっていた架奈は起き上がった。 「記録?何の言いがかりだ」  斗真は架奈の言いがかりに眉間にシワを寄せながらも居間の机にもたれ掛かった。そんな斗真に架奈はソファーから手を伸ばし携帯電話の画面を斗真に突き出した。 「なんだよ..?」 「これね!10秒間に何回タッチ出来るかってゲーム!結構流行ってるんだよ!」  何処かで聞いたセリフだな。 「兄ちゃんもやってみる?ハマるよ!」  ハマる?そのアプリは既に斗真の嫌いな物リストに見事ハマっている。 「やるかよ」 「え~なんで~?」 「何でもだ」  斗真は架奈の勧めを断って自室のある二階に向かおうとすると架奈が斗真に聞こえるように呟いた。 「どうせ妹に負けるのが嫌なんでしょ」  架奈の挑発とも言えるこの発言は見事、負けず嫌いの斗真の闘志に火をつけた。斗真は早足で居間に戻ると架奈の挑発を受け入れた。 「誰が妹に負けるかぁっ!!」
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