二人の守護者と扉の向こう

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「紙に書いてあるじゃない。おそらくマスターの家を守りたいという思いが、わたしたちに宿って、それが使命感となって現れていたのよ 「ふうん」 「ふうんって。モカってば、マスターが憎くないの。わたしたち三年近くも無駄なことをさせられていたのに」 「いやー、別に」  感心のなさそうなモカと話していると、カカオはなんだか自分の怒りがバカらしく思えてきた。確かにモカの言うとおり、わたしは頭が固いのかもしれない。 「だって、カカオと毎日一緒だったからね。ボクは楽しかったよ」 「えっ……」 「さ、掃除、掃除。ほらほら、カカオも手伝って。今日からここがボクたちの守る場所だよ」  モカはカカオの手をとり、微笑みかける。 「……うん。そうよね」  ほんのり頬を染め、カカオはモカの手をしっかりと握り返した。
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