二人の守護者と扉の向こう

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 森の奥の、そのまたさらに奥。いわゆる秘境と呼ばれるような場所だった。二人の少女が扉の前で、番人のように立っていた。  心地よい日差しが少女たちを照らす。穏やかに吹く風を受け、二つの栗色の髪がそよそよと揺れる。 「ふわぁ。今日も暇だねー、カカオ」  緊張感のない、平和そうな声が言った。 「モカったら、もう、またあくびして! 守護者たるもの常に襲撃者に警戒しなきゃダメじゃない」  カカオと呼ばれた髪の長い少女が、その体躯に似あわぬ大きな剣をかまえる。かすかな足音でも聞き逃すまいと耳を澄まし、周囲に鋭い眼光を飛ばす。  草が生い茂っている向こうには、日も届かない鬱蒼とした森が広がっている。二人にとって馴染みの風景。襲撃者、という物騒な単語すら出てきそうにない。 「ううーん。カカオは心配しすぎだよ」  カカオの視界の隅で、髪の短い少女がのんきに伸びをした。カカオの相方、モカである。  モカは自分の背丈ほどの槍を地面に置き、その場であぐらをかくなり、すぐ仰向けに倒れた。気持ちよさそうに目を細め、大きく息を吐く。警戒心など微塵もないしぐさ。そのようすを見て、カカオの眉がぴくぴくする。
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