二人の守護者と扉の向こう

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「襲撃があったらどうするの? そんな姿勢じゃ戦えないわよ」  少し厳しい口調で、カカオが注意した。けれど、モカは風の音に耳をかたむけているかのような涼しい顔をしている。 「だれもこないよ。今までだって、一度もきたことないじゃん。だいたい、カカオは頭固すぎー。もっとやわらかくしないと。その胸みたいに、さ」  カカオの胸の膨らみを指さし、モカはニッと笑みを浮かべた。 「な、ななななな、な、なに言ってるのよ!」  カカオは、湯気が出そうなほど顔を真っ赤にする。細い腕をさっと組み、服のサイズにあっていない胸を隠した。恥ずかしげに体を丸めながら。  ポムッ。  一瞬だった。モカがすばやく槍を手にし、柄の部分でカカオの頭を軽く叩いた。 「守護者たるもの常に襲撃者に警戒するんじゃなかったっけ」 「く、くううう」  見事にしてやられた。カカオは瞳に涙をため、肩を小刻みに震わせた。
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