二人の守護者と扉の向こう

5/10
前へ
/10ページ
次へ
「ええ。だいじょうぶよ」  カカオは腰をあげると、おもむろに切りだした。 「それより……。モカ、わたしたちはマスターによって生みだされたゴーレム。成長なんてするはずないわ。現に三年近くたっているけど、わたしたちの容姿は生まれたときのままでしょ」 「んもう、さっきのは希望的観測じゃん。説明しなくても、そんなことわかってるよ」 「だったら、わたしたちゴーレムの役目が、この扉を襲撃者たちから守るということは?」 「ぶー。カカオのいじわる」  カカオとモカはそれぞれ振り返った。重厚そうな扉が、瑞々しい草葉に囲まれている。  この二人には、自分の名前以外ほとんど記憶がなかった。覚えているのは、自分たちが魔術師によって生みだされたゴーレムということ。もう一つは、この扉を守らねばならないという使命感。魔術師の顔も名前も思いだせなければ、扉を守る理由も知らなかった。  それでも二人は使命感だけで扉を守りつづけていた。  カカオは再び剣をかまえた。実戦経験のなさが、ありありと伝わる体勢。ぜんぜんが腰が入っていない。
/10ページ

最初のコメントを投稿しよう!

4人が本棚に入れています
本棚に追加