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「ええ。だいじょうぶよ」
カカオは腰をあげると、おもむろに切りだした。
「それより……。モカ、わたしたちはマスターによって生みだされたゴーレム。成長なんてするはずないわ。現に三年近くたっているけど、わたしたちの容姿は生まれたときのままでしょ」
「んもう、さっきのは希望的観測じゃん。説明しなくても、そんなことわかってるよ」
「だったら、わたしたちゴーレムの役目が、この扉を襲撃者たちから守るということは?」
「ぶー。カカオのいじわる」
カカオとモカはそれぞれ振り返った。重厚そうな扉が、瑞々しい草葉に囲まれている。
この二人には、自分の名前以外ほとんど記憶がなかった。覚えているのは、自分たちが魔術師によって生みだされたゴーレムということ。もう一つは、この扉を守らねばならないという使命感。魔術師の顔も名前も思いだせなければ、扉を守る理由も知らなかった。
それでも二人は使命感だけで扉を守りつづけていた。
カカオは再び剣をかまえた。実戦経験のなさが、ありありと伝わる体勢。ぜんぜんが腰が入っていない。
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