二人の守護者と扉の向こう

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「やれやれ。カカオはホント頭が固いなー」  モカのほうは腰をおろしたまま、起きようとしない。 「わたしは、ただ自分の役目をはたしているだけよ」 「それが固いんだって。ところでさ、カカオ」 「どうしたの?」 「この扉の向こうって、どうなっているのかな?」  ふとモカが興味深そうに扉のほうに目をやった。釣られるようにカカオも視線を動かす。 「また気にしてるの? モカ。わたしたちの使命はこの扉を守ること。開けてしまったら、その使命を破ることになるわ」  慣れた口調でカカオは言った。  モカが扉を開けたがるのは日常茶飯事だ。おかげで、モカが扉の向こうを見たがるたび、カカオは条件反射のように言葉が出てくるようになっていた。 「だよねー。はあ」  つまらなそうに溜息を吐き、モカは空を眺めた。わた雲がゆったりゆったりと流れている。多忙とは無縁の世界。のんびりした雰囲気があたりを包みこむ。 「ねえ。モカはどうして扉の向こうが気になるの?」  森を見つめたまま、カカオが聞いた。
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